日本語で歌いだした本当の理由



牧村
「英語詞でデビューして、2作目の『CAMERA TALK』で
すぐに日本語詞に変わり、その日本語詞が非常に
クオリティの高いものであったということなんですが、
この日本語詞への変化はレコード会社によくありがちな、
『売るために』変える、ということではなかったのです。」

「1stと2ndでは違うアプローチでありながら、
クオリティを失うどころかさらに、日本の洋楽市場へも
影響を与えるものすごく意味のあるアルバムになったということです。
これで小沢君と小山田君が持っていた音楽知識と資質の埋蔵量を
遺憾なく発揮する、ということになったんです」


小沢
「日本語の詞って、ぼくらにとっては
アルバムのたくさんある要素の中のひとつ。」

従来のポップソングにおける常識からは想像つかない歌詞が、
洗練された曲に乗って甘い声で歌われている。

小沢「わりと日本語の歌詞で語られがちなことって、
すごく正論ぽく聞こえるのがあるでしょ。
歌いやすいとかメロディに乗ってるとか。
でもそんなことばかり考えてたらね、
今までと違うものって作れなくなってくる。
いわゆる『よくある』歌詞って、やっぱり歌いやすいし耳に入りやすい。
だからそういう歌が世の中に多いっていうのは分かる気がするけど」


出まかせ並べた/やけくその引用句なんて
イカサマなカードで逃げまわる/
クソタレな気分蹴飛ばしたくて/
間抜けヅラをしたマッチョマンとキスしてる/
切りつける言葉僕は吐くだろう/
つけぼくろで微笑む君


これまでこんな歌詞のポップソングなんてあっただろうか。


『ピストルならいつでもポケットの中にあるから』

このフレーズはカットされそうになったが、
なんとか大丈夫だった、とか。


牧村
「70~80年代は要所要所に松本隆さんがいたよね。
松本さんの詞は『日本語のロックが英語のロックよりも劣る』
なんて馬鹿げた洋楽至上主義を覆した。
YMOの散開という解散後、その文脈が途切れることで、
バンドブームという歌詞が弱いシーンになった。
それじゃひどい後退だと思ったよ。

小沢くんは松本隆さんのあとにやっと現れたずば抜けた作詞家なんだ。」


【収録曲】
恋とマシンガン
カメラ!カメラ!カメラ!
クールなスパイでぶっとばせ
ラテンでレッツ・ラヴまたは1990サマー・ビューティー計画
バスルームで髪を切る100の方法
青春はいちどだけ
ビッグ・バッド・ビンゴ
ワイルド・サマー/ビートでゴーゴー
偶然のナイフ・エッジ・カレス
南へ急ごう
午前3時のオプ
全ての言葉はさよなら

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