サニーデイ・サービスの書籍「青春狂走曲」について

(画像引用元:stand-books.com)

インタビューでの発言と作品に一貫性があるアーティストは正直というか、分かりやすいというか、音楽に向き合う姿勢が誠実で信頼出来るように思えます。

ただ、個人のドキュメンタリー性を「売り」にするようなアーティストや露骨に反映された作品は苦手です。かと言って初期のキリンジのようにファンタジー過ぎても最初は楽しめるものの、意外とすぐに飽きてしまうものです(個人の嗜好の違いはあるとは思いますが)。

その点、サニーデイ・サービスはドキュメンタリー性を作品に込めつつも、リスナー個人個人の思いを反映させて楽しむことも出来るアート性もあり、そのバランスがバンドの最大の魅力なのだと思います。

曽我部恵一、田中貴、丸山晴茂、そしてバンド自体のドキュメンタリーの部分を具体的に知ることが出来るのが、書籍「青春狂走曲」です。 もしこれまで、バンドや作品、人生に対する彼らの思いを知らずに音楽だけを楽しんでいた方であれば、これを読むことで新たな思い入れを持ってサニーデイや曽我部(ソロ作含む)の音楽をさらに深く楽しむことが出来ます。

こんなバンドはなかなかいないし、こんな本もなかなかありません。

結成時から解散まで、そして再結成後。その時々の事を、当時のインタビューと現在の視点からメンバー3人とデザイナーの小田島等さんが語った内容を読むことが出来ます。

インタビューをし、本文を書いているのは音楽ライター北沢夏音さん。北沢さんは、1990年頃の大人に心を開かなかった若き日のフリッパーズ・ギターの2人とも信頼関係を築き、フリッパーズの活躍から解散、渋谷系全盛期のソロ活動を、媒体として、友人として近くで見てきた人です。

そんな人が、フリッパーズのすぐ後を追って出て来た、最初のフリッパーズ・チルドレンと呼べるサニーデイ・サービスというバンドに何かを感じて、20年以上に渡って支持をしてきたのです。 これ以上にサニーデイの書籍を創るのにふさわしい人はいないように思えますし、説得力が違います。

 

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